Column | 豊かさを彩るフォレストガーデン |
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2021.03.18
マルベリーハウス、代表の桑原です。
前回のブログが、おかげさまで業界内でちょっとバズり、HPへのアクセスが急激に増えました。実務者のみなさんも、あれらのビジネスに対して思うところがあったんだなあ、とあらためて感じている次第です。
さて、前回のブログを読んでくださったあなたは、もしかしたらこんな風に考えているかもしれません。
わかった、相談所に行くのはやめよう。
でも、じゃあどうやって家づくりを進めればいいんだろう…
それはそうですよね。
味方だと思っていたはずの相談所は信頼できず、家づくりについて聞きたいことがあっても誰に聞いたらいいか分からない。頑張って、インターネットや書籍を読んでも、それが本当に正しいかどうかも分からない。
前々回のブログでも触れた「建築難民」状態に陥ってしまうケースも、かなり多いように思います。
実際、これはお客さまにとってなかなか悩ましい問題だったのですが、今は、ちょっと有意義な解決策をお伝えすることができます。
それは、以下のYouTubeチャンネルを見ていただくことです。
「家づくり相談室 by 木の家建築展」
https://www.youtube.com/channel/UC-7coaZ9ti4blKuxqrEmObg/featured
■家づくり相談室とは
これは、県西部エリアで優良な住まいを建てている工務店が一堂に会して、お客さんからの質問にお答えするという番組。トークライブというかたちで、毎週火曜日20時から、約1時間程度、リアルタイムで配信しています。
弊社も、このトークライブに参加している地域工務店のうちの一社です。
「宣伝じゃん!」と思われるかもしれませんが、そうではありません。他の優良な工務店さんも一緒に出ているチャンネルですから、私としてはむしろ他の工務店さんとお客さまが重複してしまうリスクが高くなります。全然、教えたくはないのです。(本当に)
でも、このチャンネルが、お客さまにとって有用なのは間違いありません。ですから、今回はこちらのYouTubeチャンネルを取り上げつつ、工務店同士の連携の重要性についてお伝えしていきたいと思います。
さて、「家づくり相談室」と聞くと、前回批評した住宅相談所のようなイメージがあるかもしれませんが、これ自体は聞くだけなら完全に無料。質問も匿名でOKなので、あなたは、自分が聞きたいことだけを私たちに聞いていただくことが可能です。
もちろん、「これを聞いていただいて、あわよくば弊社にお問い合わせいただきたい…」と言う下心がまったくないわけではありません。というか、ありますっ。(笑) ただ、それよりも、ユーザーに正しい情報を提供したい、という意味合いの方が強いですね。
工務店一社だけで配信しているわけではないので、お客さんを囲い込むためのポジショントークもほとんど生まれず、回答に変な忖度が働くこともありません。(他社の実名批判などは極力避けていますが)
毎週、おおよそ5〜10個の質問に順番でお答えしているのですが、おかげさまで質問はひっきりなしで、ライブ中にも視聴者さんがチャットでたくさんコメントや質問をくださるので、いつも楽しくお話をさせていただいています。
当初より対象地域を県西部地域に絞って発信しているものの、Twitterなどでも話題になっており、今では全国のユーザーさんから質問が来るようにもなりました。地域の方向けの発信ですから、本当は地域のユーザーさんの質問にお答えできるのが一番なのですが、こうして多くの方に受け入れていただけるのは、ありがたい限りです。
この「家づくり相談室」ができたのはコロナ禍の2020年5月。
元々は「木の家建築展」という工務店10社による合同の展示イベントを実施していたのですが、外出自粛のためお客さまと接触ができなくなってしまい、なんとか情報を届けたい!と思って工務店たちで企画したものでした。
■工務店同士が連携している意味
ちなみに木の家建築展を主催しているのは、地域の工務店団体「一般社団法人静岡木の家ネットワーク」より有志で集まった工務店。5年ほど前から、試行錯誤しつつ、ユーザー向けのイベントを実施してきました。
(追記:2023年に有志メンバーであらたに「一般社団法人 未来へつなぐ工務店の会」を設立し、現在はそちらが運営母体となっています)
ネットワーク自体の設立が2008年でしたので、おおよそ10年くらいで、このような協力体制を築いてきたことになります。(同団体の代表理事を4期前から私が拝命しています)
このように、商圏が被る工務店同士が手を取り合って精力的に活動しているのは、実は全国でもあまり例がありません。
見方によっては、工務店同士というのは、住宅市場でお客さまを奪い合うライバルでもあるわけですから、合同の展示会やトークライブというのは、敵同士でお互いの手の内を晒し合っている状況です。
確かに、そうやって考えてしまうと、協力関係を築くのは非常にリスキーであるように見えますし、実際、多くの工務店は、いまだに自分たちのやり方をあまりオープンにはしていません。
でも、私たちはやっている。この差はなにか。
それは、この横のつながりの重要性を理解できているかどうか、に尽きるのではないかと思います。
建築展に参加している工務店の中では、自社の物件が完成すると、お互いの完成現場を見学し合い「ここはこうした方がいいよ」とか「これいいね、今度うちもそうしよ」とか少しでも自社の建てる家の品質を上げるために貪欲に情報を交換し合います。
また現場でトラブルがあればそれをシェアして、自社以外の工務店が同じトラブルが起きないように情報交換しますし、お互いの施工品質、精度を上げるための情報も惜しみなく提供します。これは5社いれば5社分の、10社いれば10社分の、経験や情報が入ってくるのと同じです。
隠している自社の情報より、シェアすることで入ってくる新たな情報の方が圧倒的に多く有意義なのですが、このメリットに気づけるかどうか。この視点が非常に重要になってくるのではないかと思います。
一昔前までは情報と言えば、流通業者、メディア、コンサル等から一方的に私たちに伝えられるものでしたが、そう言った所からの情報は、自社の商品、商材を売りたいがための情報になりがちです。
しかし工務店仲間から入ってくる情報は本当にためになり、売りたいがためのバイアスのかかった情報ではない、価値のあるものです。
私たちは地元でもそのような関係を築いていますが全国各地にも仲間の工務店が多数あり、日々色々な情報を提供し合っています。
今の世の中、自社の情報を外部に流出しないように必死に守っても、世の中はそれ以上のスピードで変わっています。それに気づかないようでは、どんどん世間の流れに取りのこされてしまい経営的にも危険になります。これらの横のつながりがない工務店は、今後、間違いなく時代の流れについていけなくなるでしょう。
実際、横のつながりを持っているかどうかは、お客さまが工務店を選ぶ基準にもなり得ます。最新の情報を持っているかどうかが、家づくりのクオリティに明らかに影響を与えることになりますし、もし仮にあなたが家づくりを依頼した工務店が倒産しても、その会社が残したものを受け継げる工務店がいるということでもあるのです。これは、将来的なリスクに備えるという意味ではとても重要なことだと思いませんか?
また、少し市場全体のことに触れれば、情報を共有して工務店同士がスキルアップすることは、いい家が地域に増えることと同義。それはつまり、お施主さまを幸せにできる総量が増えるということでもあります。
そうして、地域全体で工務店の性能レベルが上がれば、あとは人柄 のよさや、デザインで選ぶことだってできます。最近ではかなり性能関係に詳しいお客さまも増えましたが、これは本来プロの仕事。生涯、快適で安心に暮らせる性能は住宅会社が担保しておけば、お客さまが考えることは少なくて済みますよね。あとは、工務店の人生観や思想など、そちらに共感できれば、不安なく、その会社に頼むことができるようになるはずです。
いずれにしても、上記で述べた「横のつながり」。このすごさを、あなたにも理解してほしいと思っていますし、常に学び合っている工務店を家づくりのパートナーに選んでいただけるのがおすすめです。
ということで、まずは家づくり相談室トークライブ、ぜひご覧になってみてください。
「家づくり相談室 by 木の家建築展」
https://www.youtube.com/channel/UC-7coaZ9ti4blKuxqrEmObg/featured
それでは、また。
マルベリーハウス
桑原 人彦