Column | 豊かさを彩るフォレストガーデン |
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2022.07.30
マルベリーハウス、代表の桑原です。
前回のコラムからずいぶん時間が経ってしまいましたが、その間に世の中もずいぶん様変わりしましたね。
一昨年はコロナ禍で経済活動が止まったかと思いきや、巣ごもり需要で住まい関連のニーズは増え、家づくりを検討する方々も増えました。
かと思えば世界的な木材不足からウッドショックが起き、材木価格が高騰。それに引きづられるようにその他の建築資材も値段が上がり、家づくりにかかるお金は2年前のおよそ1.2倍ほどになっています。
一連の資材ショックを受けて、各種建材のメーカーも生産体制を整えようとしていましたが、そこに重ねて起きたのがロシアウクライナショック。
半導体やエネルギーなど、現代社会の命綱とも言える品目においても、なかなか厳しい状況に突入しました。エネルギー価格の高騰で製造コストはさらに上がりましたし、建築資材に限らず、電気代や食料品などの生活必需品に至るまで、さまざまなものが値上がりしています。
「泣きっ面に蜂」とは、まさにこういうことを言うのでしょう。
もちろん、物価上昇自体は悪いものではありません。むしろ、経済成長の指標でもあります。(国としては年率2%の物価上昇を目標に掲げています)
問題なのは、物価は上がっているにも関わらず、給料がそれに伴って上がらないことですね。
日本は食品やエネルギーなどの自給率が低い輸入大国ですが、円安の影響で輸入品の値段が大幅に上がっています。輸入材料が大半を占める日本の商品は、製造コストなどの原価が増えて販売利益を圧迫するために値上げするしかありません。
そうすると、値上げをしてもその分が会社の利益になるわけではありませんから「この状態で社員の給料を増やすわけにもいかない…」と、そんな心持ちなのではないかと思います。
景気は停滞しているけど物価だけが上がっていく。このような状態をスタグフレーション(悪いインフレ)と言いますが、これは本来、政治レベルで対策が必要なものです。
が、戦略的にリスクを取るような、攻めの決断を下すことがなかなかできないのが日本の国政。苦境の出口はまだまだ見えません。
個人的な見解ですが、政治に期待したいのは抜本的な経済対策や規制緩和。コロナ対策も必要かとは思いますが、日本経済の先行き感を示してほしいですね。今のままではあまり明るい未来が見通せません。
■「様子見」は正解か?
弊社のHPをご覧になっているということは、あなたもおそらく住まいづくりを検討中かとお見受けします。
もしあなたが「今は状況が悪いから少し様子を見よう」と思っていらっしゃるようでしたら、その行為には少し注意が必要です。簡単に言えば「待てば待つほど状況が悪くなる」可能性のほうが高いからです。
もちろん、資材価格が1〜2年前のレベルに下がる可能性もゼロではありません。が、そうなるのは、世界経済の動きを考えるとかなり難しいのではと個人的には思います。
今や日本の国力はどんどん落ちており、他先進国に抜かれ続けているような状態です。
世界的に見れば人口は増えており、人口が増える以上、人にモノやサービスを提供する会社は事業規模を拡大していくことができます。
アメリカや中国などをはじめ、基本的には右肩上がりで成長しているのが世界経済の潮流。経済成長は物価上昇に通じますから、諸外国はより豊かになっているのが現状です。
一方で、少子高齢化をはじめ、空き家問題、インフラ整備など、課題を多く抱えている日本では長いこと経済成長と言える動きがありません。その上、物価上昇傾向が続く諸外国からの輸入に頼っているわけですから、日本の輸入負担はどんどん増えていきます。
コロナや東欧の出来事は、そのような状況を決定づける引き金となっただけで、これまでも、日本はゆるやかにその方向に進んでいたと言えます。
いずれは普及していたオンライン会議が、コロナで加速度的に普及したのに似ていますね。
■住まいづくりをどう考えるべきか?
さて、ではそのような状況下において、私たちはどのように家づくりを考えていくべきなのでしょうか。私見を述べさせていただきます。
まず、安心で快適な住まいは、どのような状況下でも必要なものです。むしろ、世の中が不安定だからこそ、家族の命や暮らしを守れて、きちんと資産価値が評価される住まいが求められていくべきです。
そして、ぜひとも覚えておいていただきたいのは、「現在も変わらずマイホーム取得には追い風である」ということです。
短期的に見れば確かにイニシャルコストは上がっていますが、物価上昇とセットで行われるべき金利上昇が、日本ではまだ起きていません。景気対策として実施し続けているマイナス金利政策が、まだまだ機能しているわけです。
金融に関して言えば、日本の現状は異常事態です。こんなに安くお金を借りられるタイミングは今までなかったわけですから、これはチャンスというほかありません。
先日、日銀はマイナス金利政策の継続を発表しましたが、これもいつまで続くかは分からないと思っておいたほうがよいでしょう。
消費者物価指数(≒物価上昇率)が2%を越えるまではその政策を継続すると公言していましたが、もはや2%を超えているわけですから、本当は、いつ利上げが起きてもおかしくないのです。
そして、金利上昇は1%上がるだけで支払い利息は数百万円上がります。様子見状態でも資材価格が高止まりして、なおかつ住宅ローン金利も利上げ…ということになれば、それこそ目も当てられない状況です。マイホームの夢は、もっと遠のいてしまうのではないでしょうか。
ちなみに、私が仕入れた情報によると、昨年始まったウッドショック(木材不足による価格高騰)に関しては、一転、下落局面に向かっている様子。需要に対して供給量が極端に少なかった状況は改善され、むしろ現在は在庫過多になっているようです。輸入コストはまだ高いままですが、在庫を排出したい流通業者が値下げして販売する可能性はありそうです。
家づくりをスタートしても、すぐに着工できるケースは稀ですから、今から準備しておくくらいでちょうどいいのかもしれません。
金利上昇する前に住宅ローンを組むことを最優先に、資材価格が多少落ち着くタイミングにうまいこと家づくりの時期がフィットするのが最良ということですね。ただし、その時期は読み切れないので早め早めに準備しておくのがよさそうです。
一点、ご注意いただきたいのですが、私はなにも「いま家づくりをスタートすべき!」と言いたいわけではありません。家づくりにはそれぞれのタイミングがありますし、必要になったときが建てどきだと考えています。
どのような状況下でも、イニシャルコストだけでなくランニングコストまで踏まえてライフプラン(人生計画、資金計画)を立てることがもっとも重要です。
それに、前述したような未来予測は、あくまで経済論、確率論的に可能性が高いと申し上げているだけですので、実際には未来はそうならないかもしれません。
ただ、世の中の状況を知らず周囲に流されているだけでは、今の時代、決して家族を幸せにできません。既存マスコミも情報の偏りがありますから、正しい情報源を確保しましょう。
いずれにしても、目先のコスト上昇だけではなく、金融市場や世界経済も踏まえた広い視野が必要になるということだけはぜひ覚えておいていただきたいところです。
家づくりにはお金の不安がつきものですが、つくり手である我々にご相談いただくことでクリアにできる部分もあるかと思います。政治・経済まで踏まえた住宅業界の事情についても詳しくお話させていただきますので、ぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。
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それでは、また。
マルベリーハウス
桑原 人彦