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Column 豊かさを彩るフォレストガーデン

2020.12.25

「長期優良住宅は意味がない」?

「長期優良住宅は意味がない」?

こんにちは。マルベリーハウス代表の桑原です。

 

最近、相談に来られるお客さまから「長期優良住宅は意味がないと他の住宅会社から聞きましたが本当でしょうか?」と質問いただくことが増えたように感じています。

 

個人的には、「いまだにそんなことを言っている住宅会社があるの?」と信じられない気持ちなのですが、実際に、そういうふうにご案内される会社もまだまだ多いのが現実なのかもしれません。

 

弊社は全棟標準で長期優良住宅の認定を取得しており、「長期優良住宅の認定取得は当たり前」という認識でご説明をしていますが、お客さまからすれば、「どちらも家づくりのプロなのに、なぜ言うことが違うの??」と疑問に思ってしまうのではないかと思います。

 

今回のブログでは、長期優良住宅は本当に意味がないのか?ということについて、お伝えしたいと思います。

 

■そもそも「長期優良住宅」とは?

 

長期優良住宅と聞くと、なんとなく高性能な住宅というイメージがあるようです。が、その実態についてきちんと理解している方はそこまで多くありません。

 

『一般社団法人住宅性能評価・表示協会』の資料によると、

 

長期優良住宅認定制度は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅の建築・維持保全に関する計画を「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき認定するもの
(パンフレット「長期優良住宅の認定制度の概要について」より)

 

というふうに紹介されています。

 

難しい言い回しですが、簡単に言ってしまえば、「長く使える工夫がなされている家」を認定しますよ、というものです。

 

認定基準としては、たとえば、

 

・省エネ性(断熱性能)
・耐震性
・劣化対策
・メンテナンス性
・定期点検の計画立案

 

上記のような項目がチェックポイントになります。

 

「地震に耐えられる強い構造になっているか」や「劣化しづらい材料を使っているか」などに対応することで「長持ちする家」になりそうだというのは、なんとなくご理解いただけるかと思います。

 

この認定制度は平成21年6月に施行され、現在は10年を過ぎたところですが、マルベリーハウスは10年前から全棟で長期優良住宅の認定を取っていました。

 

というのも、短命と言われる日本の住宅の中において、「長持ちする家」の基準は今後のスタンダードになると考えていたからです。

 

よく名前が出る『建築基準法』は、法規のレベルとしては下の下。住宅事業者が最低限守らなければいけない基準であって、それを守っていてもせいぜい寿命20〜30年の家しかできません。

 

だからこそ、その上の基準である長期優良住宅認定制度を採用したわけですが、現時点での制度の普及率は、新築一戸建てのうち25%程度。まだまだ少ないのが現状です。

 

■長期優良住宅は高いのか

 

多くの住宅会社がまだ長期優良住宅を採用していないわけですが、そのような住宅会社がお客さまへ説明する際に使う常套句があります。

 

それは、

 

「長期優良住宅は費用が高くなるだけ。意味がない」

 

というものです。

 

実際、このように説明を受けているお客さまの、なんと多いことか。その説明に疑問を感じて、弊社のように全棟実施している会社に相談に来てくださるわけですが、そのような住宅会社の説明を鵜呑みにしてしまう方もかなり多いはずです。

 

お客さまも、お金の話にはやはり敏感になります。「長期優良住宅にすると、通常の仕様から200万円程度は金額が上がります」とそんなふうに言われたら、少し腰が引けてしまうのでしょう。

 

実際、構造の強度を高めたり、耐久性の高い素材を使うようにしたら、その分の費用は上がります。いいものを使えば高くなるというのは、当たり前のことだと思います。

 

認定を取るための申請の手間なども考えれば、材料費と合わせて200〜300万円上がることもありえるかもしれません。(その会社の標準仕様によります)

 

しかし、それはあくまで初期費用(イニシャルコスト)。実際には、さまざまな金銭的メリットがあります。ざっと列記するだけでも、

 

・地域型住宅グリーン化事業の補助金で最大110万円キャッシュバック
・住宅ローンの金利引き下げ10年間
・住宅ローン減税の控除対象限度額アップ
・地震保険料の割引30〜50%(耐震等級という強度により割引率が異なる)

 

などなど。(※時期によって実施していなかったり、数字が異なるケースがあります)

 

補助金110万円は分かりやすいですが、住宅ローン金利も、元本によりますが、0.2%変われば総支払い金額が100万円以上の差になることもザラです。その上さらに、地震保険料金が半額なら20〜30万円程度、その他の税制優遇まで加味すれば、明確に長期優良住宅の認定を取った方が金銭的なメリットが大きいと分かります。

 

さらに、耐久性を高めたことによる後年のメンテナンス費用や、省エネ性を高めたことによる光熱費の削減量など、メリットを考えればそれこそキリがありません。材料費も電気代も今後も値上がりしていく傾向にあるので、ランニングコストをミニマムにしていくのはリスク回避にもなりますね。

 

また、公益財団法人 不動産流通推進センターが作成・配布している「不動産価格査定マニュアル」という中古住宅の値付けマニュアルによれば、長期優良住宅は耐久性100年、建築基準法レベルでは耐久性25年で検討するようにと明確に記載があります。将来的な資産価値にもポジティブな影響があるということです。

 

ちなみに一方で、長期優良住宅は資産価値が残るから将来的にも固定資産税が高くなる、というまことしやかな噂がありますが、それも現時点では心配する必要はなさそうです。
木造住宅の固定資産税計算式の中に経年減点補正率というものがあり、一般的な住宅では1年後に0.8、25年後に0.2になり、だんだん評価額が下がって税金が安くなっていくのですが、長期優良住宅であろうとなかろうと、同じ推移をしていくとの税務課の回答があったそうです。(懇意にしている一級建築士さんが確認してくださいました。浜松市以外の市町村では算定方法が異なるかもしれませんのでご注意ください)

 

いかがでしょう、本当に「長期優良住宅は高いし、意味がない」でしょうか? 私は、とてもそうは思えません。

 

世の中には、イニシャルコストだけに目を向けて家づくりを行い、結果的に高い買い物をしている方が本当に多いです。

 

できればライフサイクルコスト(生涯費用)でものごとを判断し、将来にわたって安心・快適で、余計なコスト負担がない暮らしをしていただきたいと、そんなふうに考えています。

 

■長期優良住宅で注意してほしいこと

 

さて、今回の記事では、長期優良住宅のことを「いいもの」のように紹介してきましたが、認定を取るための基準は、あくまで『最低基準』です。

 

長期優良住宅の認定基準ではOKとされている材料でも、実際に耐久性やメンテナンス性が低いものはたくさんあります。

 

透湿防水シートという建材がわかりやすいのですが、日本の国家規格である「JIS」が取れている材料でも短期間での劣化自称が報告されているケースもありますし、雨樋(あまどい)のように、長期優良住宅の認定制度の中では材料の規定がないケースもあります。広く使われているのは塩化ビニル製の雨樋ですが、直射日光が当たっている場所だと10年ほどで変色・劣化していってしまうのです。それでも、規定がないため「長期優良住宅」の認定を取ることができてしまうのです。

 

これらのことは、こちらのブログで紹介しているので、ご興味があればご覧ください。

 

ともかく、長期優良住宅については、その認定基準だけでは本当の意味で「長持ちする家」とは言えないということです。ゴールではなく、そこからがスタート。そんなふうに捉えていただくべきでしょう。

 

「基準に合致するからOK」ではなく、本当の意味でオーナー様やご家族が長期的に暮らしていただけるよう、確かな材料を選び、また工夫を凝らしていくところに、その住宅会社の「らしさ」が生まれていくと、そんなふうに思います。
そういう意味では、「長期優良住宅の認定基準には意味はない」と言ってもいいのかもしれません。ただの通過点なのですから。

 

また、長期優良住宅だからと言って、メンテナンスなどをないがしろにするのもいけません。どんな素晴らしい素材でも、手入れや修繕は必要です。ただし、確かな材料を選べばメンテナンスコストはかなり低減できるのもまた事実です。長期的に使用していくものだからこそ、長期的な視野でメンテナンスや暮らしのことを考えていただきたいと思います。

 

いずれにしても、標準で長期優良住宅を建てていない会社を選ぶのは、あなたにとって大きなリスクとなるでしょう。

 

「長期をやっていない」という会社だけではなく「希望するなら取りますよ」という会社も、本当に信頼に値する会社かどうか、私は疑問です。前述したように、あれだけお客さまにメリットがある制度をおすすめしないのは、プロとしての怠慢ではないでしょうか。

 

お客さんから断熱材や工法について要望されて「では、そうしましょう」と言う会社は、一見柔軟なように見えますが、実際には自社の推奨仕様が決まっていないということです。それは、「お客さまが生涯快適に暮らし続けるために何が必要だろう?」と、ちゃんと考えていないことの裏返しに過ぎないのです。

 

同様に、「長期優良住宅の仕様になっています」という会社にも注意してください。まず間違いなく、その仕様にはなっていません。もし長期優良住宅の仕様で建てられているなら、絶対に認定を取った方がよいはずです。申請するだけなら費用もそこまで追加になりませんし、なにより、前述した住宅ローン減税や補助金、固定資産税等の減税措置、査定価格メリットなどは、認定を取らないと享受できないメリットです。
長期優良住宅のことを本当に理解している事業者ならば、その仕様になっている家で認定を取らないわけがありません。

 

■おわりに

 

さて、今回の長期優良住宅のお話、いかがだったでしょうか。

 

これまでの説明でご理解いただけたかもしれませんが、なげかわしいことに、正しい知識を持っているプロが少ないのが現在の住宅業界です。

 

我々の業界が、長期優良住宅の意義などをお客さまに説明できていないから、迷ってしまうお客さまや、判断を誤ってしまうお客さまが多く出てしまうのだと思います。

 

そのような意味では我々事業者側の不甲斐なさを感じますが、今後も情報発信を行い、家づくりを検討されている方にとって、少しでも役に立つ情報を提供していけたらなと考えています。

 

最後に、誤解のないようにもう一度申し上げますが、長期優良住宅の認定を取ればいわゆる「いい家」になるというわけではありません。長期優良住宅の認定基準は、あくまで最低レベルの基準です。要はその中身が大事ですし、そこからどれだけ上積みできるかが大事です。

 

なかなかブログでは説明しきれない部分もありますし、「ここのところはどうなの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。疑問点などございましたらお気軽にご相談くださいね。それでは。

 

マルベリーハウス 代表 桑原人彦