Column | 豊かさを彩るフォレストガーデン |
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2024.05.27
ここ数年、なかなか変化が激しいですね。
コロナ禍を経ておうち需要が増進したと思ったらウッドショック等、資材の値上がりで市況は大幅ダウン。
かと思えば、株価も高値を付けてマイナス金利も解除。日本経済もやや明るい兆しか? という雰囲気がありつつも建築資材に限らず生活物資も値上げが続き、全体の物価が上がった割には給与が増えないスタグフレーションの様相も呈している状況下。
まだまだ将来の不安は拭えませんが、どちらにしても快適で安心して暮らせる住まいは必要。ということで、住まいづくりをリスタートする方も徐々に増えているようにも思います。
住宅会社にとっては、少し安心材料と言えるでしょうか。
ただ、足元を見れば苦しい住宅会社が多いようで、コロナ融資の返済体力がない会社が続々と倒産しているという話も聞きます。
どんなに優れたデザイン、高性能な設計施工ができても、潰れてしまってはお客さまの家を守り続けることはできません。
住まいは建ててからの維持管理、メンテナンスも非常に重要になりますから、マイホームの守り手にはできるだけ健全な経営をしてほしいもの。
最近も、SNSでは「頼んだ建設会社が倒産して工事がストップした」「メンテナンスをしてくれるところがない…」など、住まい手の嘆きの投稿を目にする機会がありました。
住宅会社の倒産は、お客さまに多大なご迷惑をおかけしてしまいますから、絶対に回避すべきもの。
とはいえ、潰れたくて潰れる住宅会社はありませんから、そういう意味で、お客さまサイドが住宅会社の与信管理(倒産リスクの把握)をすることも非常に大切なんですね。
気になるのは、「そんな事調べることができるの?」ということですよね。
少々手間はかかりますが、可能です。
建設業許可を受けた事業者は、毎年必ず事業年度終了後に活動実績を報告する義務があります。活動実績とは、すなわち決算報告書です。
例えば、私たちマルベリーハウスの所在地は浜松市中央区。その場合、浜松土木事務所に行けば私たちの決算報告書を閲覧いただけます。
ハウスメーカーだと、本社が東京だったりするので、そこまで出向いて確認というのは少々大変です。でも、確認することはできるんですね。
もちろん、決算報告書の見方は事前に予習しておく必要があります。経営者や株取引をされている方、あるいは金融機関にお勤めの方以外はあまり馴染みのない資料かもしれませんが、数字を読み解けるようになると色々分かって面白いですよ。
「工務店は倒産のリスクがあるから心配」という話をよく聞きます。おっしゃる通りです。
倒産のリスクのない会社なんてありません。ただ、これは工務店だけではなく、ビルダーやハウスメーカーも一緒です。
規模が大きければ倒産しない、なんていうのはただのバイアス、神話みたいなものです。大手ハウスメーカーだって、これまでに何社も倒産しています。
会社が大きいということは、社員数も多く、施設や保有資産の維持管理経費も大きいということ。スケールメリットを活かして最適な経営ができればよいのですが、マネジメントが上手にできなければ、すぐに資産は目減りし、破綻してしまいます。
これは家計に例えて見るとわかりやすいかも知れません。
少人数の家族と大家族を比べてみた時に、いくら稼ぎ手が多いからといって、大家族の方が家計のリスクが少ないとは限りませんよね。どれだけの稼ぎがあって、月々の食費や生活費がどれくらいかかるのか。そのバランスでしか、判断できないのではないかと思います。
そんな目線で見てみると、この先、意外にハイリスクだと個人的に思うのが、年間50〜100棟レベルの、各地の中堅ビルダーさん。
ハウスメーカーや私たちのような地域工務店に比べて、常に大量のお客さまを集客しなければいけませんから、広告費や人件費にかなりの割合で予算を投下しています。決算を見てみると、ギリギリの財務状況で経営していることもわりと多いのです。
そういう会社の場合は特に、最初に決算書類を確認しておくと安心です。
ここまで述べてきて「じゃああなたのところはどうなのよ?」と思われた方もいらっしゃるかと。
弊社は1960年頃の創業ですから、ここまで約60年ほど。私が先代から跡を継いで17年が経ちます。
20年近く経営に携わっていると、それはもう、いい時もあれば悪い時もあるものです。
真面目に家づくりに取り組んできたからこそ、多くのお施主さまに支えられ、ここまで存続できているのだと、日々感じています。
経営的な面で言えば、約40年にわたって大手ハウスメーカーさんの施工にも携わり、年間約25棟位を完工しております。
そのハウスメーカーさんの指定工事店は静岡県西部では弊社のみ。
つまり、年間を通して仕事がゼロになる可能性が非常に低いということで、経営的な目線で見るとかなりの安心材料です。
もちろん、ハウスメーカー自体がどうなるか分からない可能性はありますが、その仕事が収入のベースとなり自社物件が上積みされていくといった具合なので、リスクは少ないほうだと言えるでしょう。
よく「工務店 vs ハウスメーカー」というような構図で語られることが多いのですが、ハウスメーカーさんの建物を建てたり、メンテナンスをしているのは地域の工務店や業者さんということがほとんど。連携している部分もあるんですね。
ちなみに、弊社の場合は大手ハウスメーカーさんから毎月お金が振り込まれていて、キャッシュフローもよいので、銀行からの評価も高め。
世の中に絶対はありませんが倒産の可能性を下げる経営ができているのではないかと思います。
と、色々述べてきましたが、大前提になるのは「いい家」を建てること。
その工務店・ハウスメーカーがあなたの暮らしを本当の意味で豊かにしてくれるものなのか、性能・デザイン・コンセプトなどの視点から絞り込んでもらえたらと思います。
その上で、与信も参考にしてみてください。
マルベリーハウス
桑原 人彦