Column 豊かさを彩るフォレストガーデン

2023.11.11

住まいと幸福

住まいと幸福

マルベリーハウス代表の桑原です。

本日のお話は、少し概念的なもの。
損得や、幸福感、マインドなどについてお伝えします。

家づくりは損得勘定か

家づくりをスタートする理由は、人それぞれです。

一生賃貸住まいであることにリスクを感じていたり、暮らしを豊かにしたいという欲求かもしれません。また家族が増えたからとか、増える予定だから、というケースもありますね。

リスクや豊かな暮らしについては、過去のブログ記事でも触れています。

▶︎一生賃貸の落とし穴
▶︎高性能だったらそれでいいのか?

人は、自分の判断に正当性を持たせるために、様々なロジックを使いこなします。

ライフサイクルコストを比較しておトクな方を明らかにしたり、家づくりをすることで得られるメリットを指折り数えたり。

もちろん、私自身は家づくりを生業とする工務店ですから、お客さまに選んでいただけるよう、それらの情報を分かりやすくお伝えする立場ではあります。

しかしながら、常々「家づくりって理屈じゃないな」とも思っています。

どんなに経済的なデメリットがあっても、将来的なリスクが増えたとしても、「家族で安心して暮らせる“巣”がほしい」という、ある種の本能的な欲求には逆らえません。

それは、人間が論理や理屈だけで生きているわけではないからです。

もしかしたら、経済的なことだけ考えれば住宅ローンを組まず「一生賃貸」で暮らしていくのが正解なのかもしれません。(実際、そう仰るインフルエンサーやYouTuberもいます)

30年の住宅ローンは、金銭面では不安材料になりうるものですが、マイホームで得られる幸福感、達成感、満足感、明るい家族関係など、プライスレスな喜びもあります。

これらは決して金額には代えられず、また得難いものです。

これは子どもとの関係にも通じます。こちらも、経済的なことだけを考えたら夫婦の負担が増えるのは否定できません。

ネットで調べてみれば様々な試算が出てきますが、子どもを大学まで行かせたとして、一人当たり約2,000~4,000万円が費用の相場とのこと。金額だけ見れば、かなりの負担です。

ですが、我が子が生まれ、愛すること。成長を見守る喜び、それらはやはり損得で計れるものではありません。我が子がいて、初めて理解できることでもあるのです。

誤解のないように付け加えると、家を持つこと、子供を産み育てることだけが幸せと言っているのではありません。
人の価値観はそれぞれですから、そもそも異なる意見を批判・否定するのは不毛です。「何事も、その立場になってみなければ分からない」と、そう捉えていただきたく思います。

いずれにしても、頭で考えることと現実は違います。損得やメリット、デメリットでは計れない部分に、大切なことはあるものです。

家づくりのマインド

では、私たちはどう家づくりと向き合っていくべきか?

大切なものを認識することに加えて、「前向きなマインド」というものが何より重要だと、私は考えています。

人生、いいことばかりではありません。だけど、悪いことばかりが起こるわけでもありません。

今も世の中では各地で戦争が起きていて、その影響は物価高、物資の不足など、私たちの暮らしに直接影響を与えています。社会情勢だけ見れば、とても「前向きに生きていこう」とは言い難いのが現実でしょう。

ですが、それでも生きていかなければならないのです。前向きに考えていくことは、私たちの人生にとってプラスに働くはずです。そういう姿勢でいるだけで、日々の過ごし方や感情が変わると思います。

前述した自分の価値観の中での損得や、善悪、白黒に対してその都度、感情を動かされるよりも、常にフラットに気持ちを置いておくほうが、いざという時に行動を起こしやすいものです。

達観と楽観の中間くらいのイメージでしょうか。そうやって穏やかに前向きに生きることを目指したいものですね。

私たちは、日常の積み重ねの中で生きています。

毎日毎日、劇的なことが起こるわけではありません。毎日を意識的に常に全力で生きている人は少ないと思います。毎日、毎日を一生懸命に過ごしていたら疲れてしまわないでしょうか。無意識に力を抜き、惰性で暮らしていることも多々あるように思います。

でも、家は日常を過ごすところ。頑張った自分も、ダメな自分も、一緒くたに包み込んでくれる「心安らげる場所」であってほしいと思います。
そんな日常の中に小さい幸せを、小さな「好き」を見つけ積み重ねていくことが、もっとも幸福に近づくはず。

みなさんのマイホームがそんな場所になってくれたらと心底願います。と、何だか観念的な話になってしまいましたね。

さて、それではそんな家でどう暮らしていこうか?

次回のブログでは、そんなお話に触れたいと思います。

マルベリーハウス
桑原 人彦