Column | 豊かさを彩るフォレストガーデン |
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2023.06.08
マルベリーハウス代表の桑原です。
家づくりをしようと決めたあなた、最初にモデルハウスや見学会、総合展示場に行こうとしていませんか?
今回は、それはできればやめておきましょうというお話です。
■どう動いていいか分からない?
当然ですが、家づくりをスタートした時はみんな横並びで「家づくりの初心者」です。まず、何から始めればいいんだろう? という疑問を持たれる方がほとんどかと思います。
だからこそ、はやる気持ちを抑え、じっくり情報収集を行い、冷静な視点で家づくりのことを知っていくべきなのですが、現実はそうなっていないことが多いように感じます。
もしインスタグラムなどのSNSを利用されているならちょっと開いてみていただきたいのですが、見学会やモデルハウスへの来場をおすすめする投稿や広告が多いのではないでしょうか。(弊社も例外ではありません)
実際、家づくりをどう進めていくべきかの指針となる情報は、あまり目立つかたちで出回ってはいません。それはなぜかというと、お客さまが賢く情報を仕入れることと、住宅業界にはびこる営業手法が相反する内容だからです。
基本的に、不動産会社や住宅会社は、あなたに即断即決を求めます。いわゆる「囲い込み」です。
「いい土地はすぐに売れてしまう」とか「今なら決算のキャンペーン値引きができます」とか、そういう営業トークが多いです。「あなたのため」という美辞麗句で、実際にはいかに早く受注できるかが重要な指標だったりするのです。
ただ、お客さまに契約を急がせるのは、営業手法としては正解です。
住宅会社にしてみれば、失注してしまう原因の多くは競合他社に決められてしまうこと。ライバルに目を向けられる前に、自分達の会社に決めてもらおうというのは、売上をつくるという意味では至極真っ当な戦略です。
ですが、それがあなた(お客さま)のためになるかといえば、そうとは言えませんよね?
特に大手ハウスメーカーやパワービルダーにありがちなのですが、土地も間取りも何も決まっていない状況で「仮契約」と称して契約を迫る会社が少なからずあります。私たちからしたら考えられないのですが、現実にあるのです。
プランも何も決まっていないのですから当然、コストも仕様も比較検討できません。そんな状態で契約なんて本来できるわけありませんし、したら絶対にダメです。
耳障りのいい営業トークに乗せられて、よく検討もせずに選んでしまったという話はよく聞きます。その会社よりも、そのご家族にピッタリの住宅会社が本当はあったのかもしれない。
それなのに外力によって別の会社を選んでしまうのはたいへん残念なことです。大金をかけて、一生を過ごす場所をつくるのですから、検討に検討を重ねて、「この会社以外ありえない」という心持ちで選択すべきだと私は思います。
いずれにしても、「早くうちの会社に決めてね」という情報が大量に生まれている中で、「急がずゆっくり決めましょう」という情報はかき消されてしまうというわけです。
■じっくり情報収集、の大切さ
最初にお伝えしたように、見学会や展示場に行けば、あとはエスカレーター式に話が進んでいってしまいます。住宅会社の営業マンは、自社の特徴を上手にお話してくれますし、次のステップへの誘導もスムーズです。
あなたが一生に一度しか体験しないプロセスを年間数百回行っているわけですから、向こうのほうが二枚も三枚も上手です。
土地だってそうです。一度見に行ってしまえば、あなたの頭の中は、その土地が「アリかナシか」という判断になります。アリの土地だったら、土地は一点ものですから、他の人に買われる前に買ってしまいたくなるのが人の心理。
「他にも見学予約が入っていて〜」なんて言われたら、とりあえず土地だけでも買いたくなってしまうのも当然です。
でも、もし住宅会社を決める前に土地を決めてしまったら、残った予算で家を建てなければいけません。でも、あなたが住みたい家は、その残ったお金で本当に建つのでしょうか?
そう。何も決まっていない状況で動いてしまうことは、自らの首を締めるだけなのです。
ですから、まず必要なのは住宅あるいは住宅業界というものを俯瞰して見ること。
住宅は国土交通省の管轄ですから、国交省では今どのような政策方針を打ち出しているのか、などを調べていくだけでも、今後の住宅業界の方向性を知ることができます。
家づくりのことも、さまざまな住宅会社のHPを見てみましょう。5〜10社ほどHPを見てみるだけでも、いろいろな観点があることが分かってくるはずです。
耐震や、断熱、意匠、素材、保証、施工など、各社さまざまな説明をしてくれています。そうやって見ていると、きっと自分では分からないことが出てきます。
そうしたら、ご自身が感じた疑問点を整理してみましょう。住宅会社に行くのはそれからです。
自分なりの考えを持って、その上で、住宅会社の担当者に疑問をぶつけてみましょう。先方から聞いたことが腑に落ちればそれでよし。違和感が残るようなら、別の会社にも同じ疑問を投げかけてみてください。まったく正反対のことを言われるかもしれません。
ここは注意が必要なのですが、営業マンは住宅の技術者ではありませんから、少なくない確率で知識的に間違っていることを回答してしまうこともあるようです。判断が難しいところですが、セカンドオピニオン・サードオピニオンと照らし合わせて情報を精査しましょう。
■プロに聞こう
家づくりは、デザインや間取りなど、情緒的・生活的な分野もありますが、それと同じくらい、耐震性や断熱性、気密性、空調計画、湿度コントロールなど理学的な要素も重要です。
デザインや間取りのような見た目で分かりやすい部分に惹かれてしまう気持ちも理解できますが、目に見えない大切なところは、それ以上にしっかり検討すべきです。
デザインや間取りは後年変更することもできますが、耐震性や断熱性などの根本的な躯体性能は、後で変更することができません。不可能ではありませんが、新築時に施工した場合と比べると尋常ではないコスト負担になります。
あなたにも、そのような分野のお話を聞いていただき、正確な情報を手に入れていただきたいのですが、そういった内容は、住宅会社の中でも、設計施工を手がける技術者にしか話せません。
中小の地域工務店であれば、経営者にお話を聞くのも良いでしょう。営業マンと異なり、経営者は、その会社の理念やビジョン、思想を持っているものです。もし、それを語れない経営者だったらその会社は論外です。
営業マンと気が合うからと言ってその会社に決めてしまうのではなく、その会社が建てている家が「あなたの人生を預けるに足るものか」ということを唯一の判断基準にすべきです。
そして、最近乱立している「住宅会社紹介サービス」にもご注意ください。中立的な立場を装い、家づくりの進め方を教えてくれるお店ですが、その成り立ちは紹介ビジネス。
無料相談に来たお客さんを、そのサービスに登録している住宅会社に送客し、その成約手数料で稼ぐ業態です。相談に乗ってくれるのは住宅のプロからはほど遠い素人さんで、パートさんが対応している場合もあるのだとか。マニュアルに沿って機械的に住宅会社を紹介しているだけなのです。仮に、紹介した建築会社とお客さまがトラブルを起こしても、彼らは何の責任も取りません。
「住宅会社紹介サービス」については以下のコラムで詳しく書いてありますので、こちらも是非ご一読ください。
最近はプロ顔負け、いやプロ以上の知識を持つ住まい手の方々がいらっしゃいますが、個人的にはそこまでの知識を付けなくてもいいのではないか、とは思います。
ただ、良くも悪くも家づくりはあなたの人生に多大なインパクトを与えるのも確か。
一生暮らす家なのですから、どの会社にどんな家を頼むかは、時間をかけて自分なりに情報収集や勉強をした上で決断しても遅くはありません。
焦らず、「信頼できる」と感じた住宅会社に頼むことを心がけましょう。
ちなみに情報収集の一つのアイテムとして、YouTube番組「家づくり相談室」もおすすめです。
私たち地元の工務店が集まって家づくりに関する質問、疑問に答えています。Liveで毎週火曜20時から配信しており、過去のアーカイブも多数残っています。こちらも是非ご視聴いただければと思います。
マルベリーハウスも設計・施工についてかなり詳しくHPに記載してありますから、ぜひひとつの参考にしていただければと思います。
https://kuwabara-kensetsu.com/
いろいろ比較検討した上で、もしよかったら私たちのモデルハウスにも遊びに来てくださいね。
マルベリーハウス
桑原 人彦