Column 豊かさを彩るフォレストガーデン

2019.01.31

省エネ義務化が延期されたときの注意点は?

省エネ義務化が延期されたときの注意点は?

2020年に予定されている新築住宅の省エネルギー基準への適合義務化が、延期される公算が大きいことについては、前回触れました。
義務化を延期する代わりに、省エネ基準への適合可否説明を義務付けると言われています。

 

義務化が延びたから、やらなくていい?
もし、義務化が先延ばしになったことを理由に、省エネ基準への適合を「やらなくていい」と考える工務店が現れたら、どうすればいいでしょうか?
家づくりを検討中の方たちにまず申し上げたいのは、「そのような工務店には頼まない方がいいですよ」ということです。
この省エネ基準は、人々の快適で健康な暮らしや、二酸化炭素の排出削減を考えて設けられた基準です。お客様のためによい家を建てようと思う工務店なら、適合して当然の最低ラインなのです。
そのラインを超えない家をつくり続ける工務店って一体…。
皆さんもよくお考えになることをお勧めします。

 

準備をしてきた工務店には実力があります
2020年義務化に備えて準備してきた工務店は、その分だけ技術・知識に磨きがかかっています。
例えば、(一社)静岡木の家ネットワークでは、岐阜県立森林文化アカデミーの辻充孝・准教授をお招きし、温熱環境省エネルギー木造建築設計について継続的に学んできました。
また、「Mulberry House(マルベリーハウス)」桑原建設の代表取締役・桑原人彦は自らが学び続けるだけでなく、住宅省エネルギー技術講習会の講師を5年にわたって務めました。この講習会は、住宅の省エネ化を進める体制の強化を目的とした国土交通省「住宅省エネ化推進体制強化事業」の一環です。

 

世界レベルに達しているマルベリーハウスの性能
このような準備を進めてきた結果、「Mulberry House(マルベリーハウス)」桑原建設の家の性能は世界レベルに達しています。
数字で表すなら、温熱等級4、熱の逃げやすさを示すUA値(外皮平均貫流率)0.5、家の気密性(隙間の量)を示すC値(隙間相当面積)0.5が、現在のマルベリーハウスの標準的な性能です。これなら、ご家族が安心して健やかな生活を営めます。

 

たしかに、デザイン重視、コスト重視の考え方も“有り”でしょう
もちろん、このような省エネ性能よりもデザインを重視したり、コストを最優先にしたりするのも、家づくりの方針としては有りでしょう。
しかし、「あたたかい家に住みたい」と希望するご家族が省エネ性能の高くない家を建ててしまったり、「安心して長く住める家にしたい」と願っている方が長期優良住宅の認定を受けない家に住むことになってしまったり…。
そんなことになってしまっては大変です。

 

お客様が勉強するしかありません!
様々な工務店がある環境で、お客様が自分の財産や家族の健康を守るためにできること。
それは、勉強することです。
お客様が「省エネ性能が確保されている家にしてほしい」「長期優良住宅の認定を取得してほしい」と希望すれば、工務店は応じないわけにはいきません。
もし、そのような希望を伝えても、ハッキリとした答が返ってこないようなら、その工務店は避けた方がよいでしょう。

 

工務店も国にモノを言うべきです
工務店も努力しなければなりません。特に、諦めずに国にモノを言う姿勢が大事でしょう。
そのような狙いもあって、中小工務店の全国組織である一般社団法人JBN全国工務店協会)は、住宅生産団体連合会住団連)に参加しました。
これによって、工務店の立場や考えが国に届きやすくなりました。
「Mulberry House(マルベリーハウス)」桑原建設のように快適で健康に暮らせる家づくりを推進する工務店の意見が国に伝われば、施策に反映される日が来ることでしょう。
 

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プロフィール
代表取締役 一級建築士
桑原 人彦
江戸時代から続く大工の家系に生まれ、設計事務所での勤務経験を経て、父親から桑原建設を継承。創業以来50年以上に渡って約700棟の家づくりに携わった経験を生かし、打ち合わせから設計、施工監理までワンストップで対応。(一社)静岡木の家ネットワークの代表理事も務める。